クロンの闘病記



   私が生まれたのは1992年5月1日、だから今年は16歳、猫としては長生きな方かな。
   腎臓が悪くなったのはかなり若い時から。おしっこに血が混じって痛かったりしたけど、その頃はネコも大勢居たから必ずしも私だとはDORAおばさんも思っていなかったし、私も獣医さんに行きたくなかったしね。だけどそうして放ったままにしていたから、たぶんだんだん悪くなっていたんだよね。
   お風呂のお水をなめるのは昔から好き、洗面台のお水を飲むのは実は蒼のアイデアをいただき。台所の流しは上がると怒られるけどね。外のつくばいもおじいちゃんが元気な頃はしょっちゅうお水を替えてくれたから私達の水飲み場だったんだ。
   だけどこんなにペロペロ水を飲むのは病気の始まりだったみたい。と言ってもだんだん飲む回数や量が増えたので私もDORAおばさんもあまり気がつかなかったんだけどね。もちろん飲めば出す、吐くこともあったけどおしっこの量も多かったみたい。このおしっこの量が多過ぎるというのも病気のサインなんだね。

   時々具合が悪くなったりしたけど、本当に調子が悪くなったのはこの3月の末。ちょうど年度末でDORAおばさんも忙しかったんだよね。お腹が減っても食べられないの。これって辛いよね。1日そっとしていてくれたけどぜんぜん良くならない。ウツラウツラして時々気が遠くなって、3日目に「これじゃだめだよ」って獣医さんに連れて行かれました。それが3/31。
   開口一番「痩せたねぇ、体重はかりましょう」って獣医さんに言われちゃった。血液検査の結果は腎不全。「入院して点滴しますか」ってお姉さん先生に言われたけど、「家の方が落ち着くと思います」ってDORAおばさんが言ってくれて当分毎日通院することになりました。本当はずっと点滴して血液をきれいにした方が早く良くなるんだって。だけど私は輸液にお薬を入れたものを大きい注射器で3本、3本目だけ色が付いているのをDORAおばさんが「何ですか?」って聞いたら「これだけ少ししみる薬が入っているので、痛くないように最後ね」って言ってました。口内炎とかもできていたので抗生物質も注射して散々だったけど、騒ぐ元気もなかったの。家に帰ったら疲れちゃってグッスリ寝ました。お腹は減っているんだけど食べようと思うと気持ちが悪いんだよね…。
   それから毎日獣医さんで注射。おかげさまで少しずつ良くなって、DORAおばさんがレトルトスープのフードを買ってくれたのでそれも舐めてみました。色々なメーカーや味があるのを買ってきてくれたけど、やっぱり食べ慣れたものの方が良いけどな。でも、みゆや茶々が「どんな味?」って取りに来るから残しても無駄にはならなかったよね。
   1週間通院して日曜日は獣医さんもお休みなので注射もなし。ちょうど入学式シーズンでDORAおばさんはその予定の合間を縫って獣医さんに連れて行ってくれました。だけど獣医さんではちょうど犬の狂犬病の予防注射とフィラリアの薬の始まりなんだよね。犬のお客さんばかりで落ち着かないんだけど…。
   2週間たった頃には少しずつならご飯も食べられるし、もう注射はいやだなぁって思ったんだけど、止めたらだめなんだって。少し調子が良くなったら歯をきれいにしましょうって、麻酔無しだから痛かったけど口の中はさっぱりしました。獣医さんが「生き物はみんな歯が命なんだよ」って。血液検査の結果も少し良くなりました。でも、「体重が戻らないねぇ」だって。だけど1月経った4月の末にはだいぶ元気になりました。茶々は3日ばかり外遊びしていたんだね。
   連休の間は少し注射の間隔も開けて大丈夫にしてもらいました。DORAおばさんは心配していたけどね。
   連休明けにはみゆがお腹の調子をおかしくして獣医さんへ一緒に行きました。みゆは2日行っただけでお薬をもらって良いにしてもらったけどね。私もだけど茶々も吐いて庭の葉っぱをDORAおばさんにもらって食べたりしていたんだね。茶々は獣医さんの前にDORAおばさんにも捕まらないんだから自己責任ね。冷蔵庫に入れてもレトルトや缶詰の開けたのを何度にも分けて食べていたのが悪かったのかなぁ…。
   連休で自信をつけて注射の回数を1週間2回にしてもらっていたのはこの頃。3日目になるとなんだか調子が悪くなったけど、痛いのは少ない方が良いしね。
   だけど今年はこの頃にノミが大発生。「あんたにノミ取り薬をつけるのは心配だから…」ってノミ取り櫛で皆の毛をすいてくれたけど、さっと1なでしただけで真っ黒になるほど取れました。さすがの茶々もDORAおばさんの側を通る度に櫛でとかれてノミ取りをしました。
   6月に入って「飲み薬も使いましょう」って獣医さんで真っ黒な丸薬をもらうようになりました。朝晩ご飯の前に飲むの。黒いのは炭の粉が入っているからで、たんぱく質をとり過ぎるといけないのでご飯を食べてもそれを絡め取って出しちゃうんだって。口の中が痛いのでカリカリはいやだけど缶詰はちゃんと食べられるようになって、やっぱりスープよりお腹にたまって美味しいよ。
   この頃、茶々がばかに私になついて側に寄ってきていたんだよね。一緒にずいぶんお昼寝したね。調子も良くなってきたから外にも出たかったんだけど、あまり出してもらえなかった…。
   注射のお薬がうまく吸収しなくて前足に溜まった事があってDORAおばさんが「とうとう吸収できなくなったか」と心配したけど、これは注射をした位置が悪かっただけで時間がかかったけどちゃんと体に取り込みました。
   6月の末には体調が良かったので2回目の歯磨き。でも麻酔や鎮静剤は使えなかったから痛かったけど。だけど脱水症状は続いているし体重が減り続けていたの。DORAおばさんが心配してほとんど毎日マグロやカツオや生シラスを買ってくれて、少しずつ食べたけどね。家は病猫が居るとお刺身があるんだ。
   茶々が不安定になって雲隠れしたのもこの頃だったかな。しかもノミが大量発生して大騒動。ノミキャッチャーは1晩で真っ黒け。とうとうDORAおばさんがノミのリスクよりノミ取り薬のリスクのほうが軽いとお薬を買ってきました。私とみゆは薬をつけてもらったけど茶々はドロンを決め込んじゃった。でも7月の後半には茶々にもようやくノミ取り薬をつけることができました。そして家の中を大掃除。夏のお客さんが来る前に少しきれいにしておかなくちゃならなかったからね。
   その頃から梅雨が明けて暑くなってバテてきました。熱がこもったようで気分が悪い。DORAおばさんが水枕みたいなクッションを買ってくれたけどこれ好きじゃないや。板の間にペッタリ身体をつけている方が気持ちが良いもん。
   そして、トイレに行くといっぱいおしっこが出るけどトイレが遠いなぁ…。しかも砂がすぐにベトベトになって気持ちが悪いし…。病気のおしっこは臭いもきついのでDORAおばさんが色々工夫してホームランになっても良いようにしてくれたけど、トイレの周りに臭いもこもるし気分悪い…。
   8月に入るともう体力も限界。注射してもあまり動けないし。でも4日の早朝、DORAおばさんに頼んでリードをつけて外に行きました。大好きだったつくばいの水もなめてみたけどおじいちゃんが手入れをしていないから藻の臭いがしました。でも地面にお腹をつけると気持ちが良いね。1時間位DORAおばさんと一緒にのんびりと朝の景色を見ていました。
   5日には獣医さんで最後の注射。「お世話になりました」って挨拶はしたけどまだまだ気力はあるからね。でも、もうご飯はいらない。
   7日の日はたまたまDORAおばさんもTANUKIおじさんも1日家に居ました。TOPPOさんが「もうすぐ行くから待っていてね」って言ってくれたけど、逝くにはこんな日が良いなっと思って夕方涼しくなった頃、皆とさよならをしました。
   パピやチビや小慈朗ママやジライヤとクーに蒼まで居るから寂しくないよ。それにパピやチビに自慢できるほどしっかり病気療養もやったし私って頑張ったよね。