災害に備える

     国土政策フォーラムin焼津

H24年発行 No.20
   1月24日ミュージコで国土交通省、焼津市共催で「国土政策フォーラム」が開かれました。テーマは「津波防災まちづくり」でした。会場は満席で立ち見もでるほどでした。関心の高さが伺われます。
   初めに中央防災会議の「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震津波対策に関する専門調査会」座長の河田恵昭教授の講演がありました。市民の生命財産を守るための減災の考え方について説明がありました。
   その後NHKの山崎解説員のコーディネートにより清水市長や国交省の審議官、大学の専門家、県の担当者を交えてパネルディスカッションが行われました。それぞれの立場で東日本大震災の津波被害について教訓や現在行っている対策について話がありました。3時間を超えるフォーラムになりまし たが、観客は席を立つ人もなく熱心に聞き入っていました。
   その中で河田教授から焼津を襲うであろう地震はM8.3、津波は9〜10mに達するとの想定をするとの話がありました。これにはちょっと驚きました。過去の記録、たとえば明応の地震の時の津波の被害などから、6〜7mを予想していましたので本当に想定値がこうなったら対策は根本から見直さなければならないと言えます。焼津の標高で9mというと県道大富藤枝線より東側くらいになります。
   こういう広範囲で大きな津波を想定すると防災対策というより減災対策も大変なことになります。100年くらいの長期的対応も必要になると提案されました。また、高齢化が進む中、地元でいざというとき戦力になるのは中学生だとの提案がありました。そして防災をキーにして地域コミュニティーの再編を考えるべきとの提案もありました。いろいろやることだらけの防災対策です。国県市が連携して着実に進めなければと思います。
   そして、「この際防災対策を充実するために焼津市藤枝市の合併を改めて模索したらいいのではと思いました。

参考  焼津市 南海トラフ巨大地震の津波高・浸水域等及び被害想定の公表について   

 大塚善弘(51年化卒)


     地震に備える

H22年発行 No.18
   昨夏の8月11日早朝、震度6弱の地震で飛び起きたのは私だけではないと思います。幸い東海地震の引き金ではなかったようですが、いざという時の備えを考えなくてはと思わされました。
   強い揺れは焼津新港の液状化や東名高速道路の一部崩落、住宅の特に屋根の破壊、さらには静岡市での1名の死者をはじめ多くのけが人を出しました。死者・けが人とも家屋内での家具の倒壊や落下によるものが多かったようです。
   幸い今回はハイチのような壊滅的な被害の出るものではありませんでしたが、東海・東南海・南海の地震が今後30年間にある確率は60%だそうで、まとめてやってきてしまうと関東から九州の東側までが被害を受ける事になるのだそうです。そしてその場合、真ん中に入ってしまう静岡県まで援助の手が来るのには相当の日数がかかるだろうと思われているそうです。
   ですから地震の時にはまず我が身を守ること、建物が倒壊せず、家具が固定されていれば、圧死や物にぶつかってのケガの確率も少なくなります。また電気やガスは阪神大震災の教訓で今では地震発生とともに元から止まるようになっているそうですが、電気のショートなどによる火災の危険も下がります。
   その上で水や食料、防災グッズが役に立つことになります。地震の規模が大きくなればなるほどハイチ同様、自助努力で震災後を乗り切らなくてはなりません。
   自主防の担当者の方はご存知でしょうがその前の地震注意情報が出た段階から自主防メンバーの所在確認や実働可能なメンバーの把握、避難が必要な地域や人の把握と資材確認などが始まります。また、防災訓練=避難訓練の図式が頭に刷り込まれている方も多いかもしれませんが、地震の警戒宣言が出た場合、避難を開始するのは津波・山崩れ・がけ崩れなどの危険地帯に指定されている地域の人々と災害時要援護者(高齢者・障害者など)といわれる災害弱者の人々です。しかし、一般の我々は地震が起きて無事であった後からどう生き延びるかどこに避難をするかを考える事になります。できうれば無事だった我が家を避難場所に生活を再建できるにこした事はありません。
   最後に企業の事業継続計画(BCP)という言葉をご存知でしょうか。災害とともに操業不能になって企業が倒産すればそこで働いている人もろとも地域の災害復興が遅れてしまいます。きちんと主要事業を復興できるように準備する事によって災害復興の特需に企業活動ができれば地域の中でお金も動き復興が早くなるという意識から日頃より備えをしておきましょうという考え方です。
 『自然災害を抑えることはできない。住民・企業・行政が連携して地域防災力を向上させることで地域を守る』ことが大切です。
   以上、1月16日にウェルシップで行われた企業の社会貢献活動研究会主催の静岡県地震防災センターアドバイザーの中村晋也氏による『迫り来る東海地震・その時、地域・企業は』という講演の受け売りでした。
押尾啓子(S51年農学卒)