市民児協理事視察研修2009 神奈川

   年1度、市民児協理事の視察研修がある。今回のメインの行き先は横浜市港北区にある日本盲導犬協会神奈川訓練センター。
   残念ながら大雨の中の出発となった。出がけに荷物をビニール袋に入れなおして、いくつかの荷物を1つにまとめかばんに詰める。大正解で集合場所まで歩く間にかばんはずぶ濡れになった。
   しかし、つつがなくバスは出発。運転手さんは女性で添乗員さんは男性。この添乗員さんが小まめにお茶を入れてサービスをしてくれたり世話を焼いてくれる。バスに乗ると飲みたくなる皆さんだが、今回も視察が済むまでもちろん禁酒。
   東名は平日の午前中の上りの割にはずいぶんと空いている。富士川SAと海老名SAでとりあえずトイレ休憩。雨の中をあまり降りたくはないが…。まず保土ヶ谷バイパスからみなとみらいへと向かい、昼食のために横浜の町の真ん中へ。
   予定より早く着いたかなと思ったら、運転手さんの勘違いで系列の別の店で、ちょうど時間良く到着。無国籍のバイキング料理だった。前に座った大井川の副会長さんが食事の後で「アイスクリーム大好き♪」とウキウキとアイスクリームを全種類盛り合わせてきた。寒かったのでアイスクリームは遠慮したが、1口サイズのチーズケーキも美味しかった。
   食事も終わり、またバスで首都高から第3京浜を通り都築Pへ。盲導犬訓練センターはここから見える所にあるのだが、道路がスムーズすぎて約束の時間より1時間近く早く到着してしまった。ここで時間調整を兼ねて大休止。しかし、まだ昼休みで駐車場は満杯、パーキングなので食堂とちょっとした店しかなく、しかも雨、タバコを吸いたい人はベンチでホッと一服だったが、いささか時間をもてあました。
ところで売店の入り口で障害者の授産施設の作品が売られていた。目が合ってしまったぬいぐるみのネコを買った。犬に会いに来たはずだったが…。
   とにかく時間待ちをおえて盲導犬訓練センターへ。パーキングから看板が見えていたのだが、すぐ側の都築ICを出てあっという間に着いた。
   訓練センターは犬だらけ、残念ながらキャンペーン用の置物ばかりだが…。メンバーの中にも犬好きは多いらしく早速はしゃぎ出す御仁も。
   『主任児童委員って何だろう・今日のお仕事』の再録になるが、午後一杯、インストラクターの方と盲導犬のユーザーさん、もちろん犬達も一緒に色々な話を聞いた。
   聞いた順とは違うが、まず犬種としてはレトリバー系(ゴールデン・ラブラドールなどやそのミックス)が向いている。これは体の大きさや見た目の穏やかさ(犬の嫌いな人にも安心感を与える)、元々がハンターが打ち落とした鳥などを持ってくる猟犬で褒められるのが好きで学習能力が高い点などが向いているそうだ。だからといって訓練をすればどの犬でもなれるというものではなく、確率の高い両親を掛け合わせた子犬を訓練しても約40パーセントほどしかが盲導犬の資質を持っていない。気が小さかったり神経質だったりあるいはトイレが近かったりと盲導犬としての仕事には向いていない犬もどうしても出てくる。ここでは訓練済みのそんな犬達がPR犬として何匹か飼われている。
   盲導犬の一生は子犬をまず子犬飼育のボランティア家庭に預け1年間家庭犬としての生活を体験してから訓練を開始する。訓練といっても楽しくなければ犬の身に付かないので遊びの延長のように名前や命令の言葉を教えていく。それもしっかりと褒めて教えることが大切だそうだ。この犬種の平均寿命は12年程度だそうだが、適性が認められ訓練が済みユーザーさんに貸し出されてから10歳程度までを盲導犬として暮らした後、引退して引退犬を飼育するボランティア家庭に引き取られたり訓練センターの引退犬飼育施設に帰ってきたりして余生を過ごす。
   盲導犬としてハーネスを付けユーザーさんとともに歩く以外はユーザーさんの家庭の犬としての生活を送る。しかし、無駄におやつをやらないし健康管理にも気をつけるのでペットの犬より健康に過ごせることが多いそうだ。ハーネスをはずせば犬もオフ、普通の家庭犬に戻り他人が触ったりしても大丈夫。フレンドリーな犬が多いそうだ。(写真右)
   盲導犬はユーザーさんとともに歩くが、道の端を歩く、角で立ち止まって教える、段差(ハーネスの角度で上り・下りが分かるそうだ)や障害物を止まって知らせるなどが役割で、地図がユーザーさんの頭に入っていればそれでスムーズに移動できるし、そうでなければ犬のキューを参考に近くにいる人に聞いたりして移動するそうで、それでも杖で歩くよりはずいぶん早く動けるそうだ。また、よほどの事がない限り犬が引っ張ることはなく、ユーザーさんの左脇にしたがって歩く。
   ハーネスを付けた盲導犬は『仕事中』のゼッケンとナンバーなどが背中につけられている。この時、犬に話しかけたり触ったり餌をあげたりしてはいけない。犬が仕事を忘れてしまうおそれがあるからだそうだ。しかし、困っているユーザーさんには「何かお困りですか?」と声をかけて欲しいそうだ。
   盲導犬を連れた人だけでなく目の不自由な人への援助の仕方も教わった。まず立ち止まっていたりキョロキョロしていたりする場合は声をかけて欲しい。案内をする時は「どちら側に付きましょうか」という事を確認したうえで自分の手の位置を知らせる。それで腕を組むなり肩に触れるなりその人なりのやり方で体制を整えるので、段差や障害物などを声で説明しながら案内をして欲しい。そして、自分が行ける範囲まで案内をしたら今どこにいるかを知らせた上で自分の案内がここまでだという事を知らせて欲しいとの事だった。そうしないとお礼を言おうとしたら相手が居なかったという事にもなりかねず、それはうれしくないとの事だった。
   もう1つ、盲人の方は当然信号が見えない。付近の音などを参考にして道路を横断するわけだが、今信号がどうなっているかを教えてもらうだけでもありがたいとの事だった。また、盲人に関しては信号無視ということは(見えていないので)とがめられない。周りが気をつけていなければならないという事で、運転中も気をつけようと思った。
   盲導犬の育成は募金や賛助金などの資金で成り立っているのでその面でも協力をして欲しいという話もあった。というわけで最後は1Fの売店で皆さんお買い物。ぬいぐるみの犬やTシャツ・バックなど可愛らしいのだが値段は結構高かった。 
   2時前から4時半近くまでみっちりと研修に当てバスは再度東名へ。途中、海老名SAでトイレ休憩。トイレの側に花壇があるのだが、看板を見ると農業高校の生徒による作品のようだ。作っただけでなく年間を通して見せる花壇を管理することが出来ればなかなか良い実習になると思う。
   バスはスムーズに厚木ICへ。ここから今日の宿、飯山温泉へと向かう。本日泊まるのは元湯旅館。立派な信楽の大だぬきが出迎えてくれた。館内は純和風で、部屋ごとに建物が分かれている。路地でつながれているので古い町の裏路地を歩いているような気になる。しかも所々にタヌキの置物。温泉にもこの路地を通っていく。強アルカリの美人の湯だそうだ。
   男女それぞれ部屋かに分かれ、まず温泉。空気は冷たいが露天風呂が気持ちが良い。一風呂浴びてホッとしてから夕食。席はくじ引き。今回は開会の言葉の当番!だったのでちょっとドキドキ。挨拶は短いを善しとして1言。皆さんはここでアルコール解禁。しかし、花粉症の薬を飲んでいる間は私は禁酒。「某大臣の真似はできません」でお断りできるとは…。
   たまたま隣が事務局さん、その向こうが添乗員さんで皆さんの世話役で忙しい隣でひたすら料理に舌鼓を打っていた。途中からはカラオケも入り「皆上手いなぁ」と反対隣の大井川の会長さんがおっしゃる中、好きな方達が入れ替わり楽しんでいるうちに9時、お開きとなった。
   部屋に帰って、「私達マッサージを頼んでいる」と言うお二人を残して残り3人は「しっかり美女になりましょう」とまた温泉。それでも明日に備えて早めに休んだ。
   翌朝は6時起床。さっそく温泉へ。昨日とは男女が入れ替わっていて、今朝は出世風呂。巨大なタヌキから湯船にお湯が出ていた。せっかくのタヌキの宿なのでTANUKIにタヌキTシャツをお土産に買う。朝食は和食のお膳。味噌汁・鮎の開き・豆腐とそれぞれ1人分ずつ火を入れてくれる。朝食の部屋も凝っていていくつかある大きな柱はみな種類の違う大木のようだった。しっかり食べて、NHKの朝ドラを見たい女性達の動議で出発は8時半過ぎ。門の前の巨大タヌキの前で記念撮影をして出発。
   9時少し前に発車したバスは東名厚木ICから西へ。中井PAでトイレ休息の間にコーヒーで目を覚ます。大井松田ICを出てすぐの大雄山最乗寺へ。車窓からは杉の花が黄色くなっているが雨で湿気も多いので、ひどい発作はないと暗示をかける。バスの登っていく道に沿ってハイキング道もあるようで、アジサイの頃が良いそうだ。
   数軒のみやげ物屋さんがある前にバスを停め、上り坂、そして階段。曹洞宗のお寺だそうだが奥へ行くほど修験道のにおいが強くなる。結界門を通り御真殿に至る道は奉納された下駄。かなり巨大なものまである。そのほかにも天狗の像や子犬を連れた狛犬など、面白いものが多かった。その後、何百段かの階段を追加して奥の院までは行かなかったが健脚の皆さんはそちらまで歩いたようだった。
   三々五々戻って、3軒あるみやげ物屋さんでお茶を頂く。よくしたものでちゃんと3軒それぞれに皆が分かれている。天狗の団扇の形をした天狗せんべいが名物だというので、食べ比べて生姜味のものを買ってきた。ほかに葉唐辛子が珍しかったので買ってきた。   
   出発したバスは30分ほどで今日のお昼を食べる足柄のアサヒビール園へ。広々遠くは工場になっているようだが、工場見学はなしで焼肉。もちろんビール園なのでジョッキも特大で出てくる。それから各自のジョッキに注ぎ分けるのだが。
   大皿の肉と野菜、おむすびまで付いてお腹一杯。間ではお店の人が「ビールの入ったチョコレートは如何ですか」とお味見を持って来たりした。もったいないからと肉の消費の早そうなテーブルへおすそ分けをしても食べきれないほどだった。
   定番のみやげ物を見ながらバスに戻る。
   そして最後の訪問先、小田原市の尊徳記念館へ。解説の方がついてくれてまず映像で二宮尊徳の一生とその業績について見る。100年に1度の不況の今と彼の生きた文化・文政・さらに天保期と良く似ている。それまでの藩や農村のやり方が時代に合わなくなり、リストラと改革が必要な時だった。
   大百姓の家に生まれたようだが、両親を早く亡くし苦労して家を再興させた。それも発想の柔軟さによるもので、その発想力で小田原藩の家老の家の財政立て直しを手がけ、殿様に認められて荒れた村の再生などを手がけ続けた生涯だった。
   子供姿の金次郎さんの像はおなじみだが、かなり大柄な人で、69歳で亡くなるまで東奔西走した生涯だったようだ。
   映像の後は資料館を回る。最後に外にある当時の家を見た。本来ここにあったわけではないらしいが、使いまわされて無くなるのを惜しんでここに移築したようだった。
   雨が上がらずに肌寒くそれは残念だったが、すぐ近くの大井松田ICから東名に入り、足柄SAと日本坂PAでトイレ休憩、ここを過ぎればすぐに焼津ICなので、ここで会長や添乗員さんの挨拶。うちの地区会長さんと私はICを出て駅に行く途中で最初に降ろしてもらい、5時過ぎには家に帰りつくことが出来た。