お互いに暇になったら旅にも出られるかと思っていたのだが、それぞれに家を空ける事はあっても、なかなか現実には難しい。
昨年は母の納骨であわただしく岡山まで2人で行ったが、結局用事がなければ難しい。
今回はしばらくぶりの行き当たりばったりの旅。実は6月に私が白内障の手術をすることになっている。「難しい手術ではないので心配する事はない」とはいうものの目の手術。トラブルがあれば運転どころか日常生活もどうなるか、という訳で、手術前最後のドライブ旅行。これが最後のドライブ旅行にならないことを祈りつつ…。
5月29日、雨予報だったが幸いに曇り。本日ゴミの日につき、まず資源ごみを出し、プラごみを出す。洗濯機を回しながら猫のご飯。マッサージ機でカツを入れ、朝のコーヒーと長丁場になるのでリンゴケーキ。
出がけにネコのカリカリ大盛と水の器以外に洗面器にもネコ用飲み水を入れてスタンバイ、きっちりと戸締りを確認して9時半スタート。
カーナビにはいつも振り回されるので、とりあえずの目的地、磐田市の香りの博物館にセット。ここで岩合光昭さんのねこのとけいという写真展をやっている。R1をテコテコ走って11時前に無事到着。
小さな博物館だが平日のせいもあって空いている。2Fの展示室のほとんどが猫に占領されている。猫の肉球の匂い?はご愛嬌だが、キャットニップやマタタビは人間には分かりにくい匂いかも…。さらにはお日様の匂い?!猫と香り・匂いを力業で合わせている。朝から夕暮れまでの光の移り変わりの中の各地の猫、どれも素敵だった。
せっかくなのでお土産もチェック。TANUKIは店員さんを捕まえて「眠れる香り」を探していた。
博物館から出てくればもうお昼前。通りがかりに目を付けていたハンバーグレストランのさわやかでお昼。タッチの差で混む時間の前に席を確保。しかし、我々2人とも早食い。のんびりとコーヒーまで飲んでも1時間とかからない。
ここで次の目的地、引佐町(浜松市北区)の龍潭寺へカーナビをセット。龍潭寺で入れると全国各地にあるらしく、一瞬どうしようと思ったが、1番距離の短い所でセット。ここは私にとっては小堀遠州が作庭したお庭が見たい、特に今の季節サツキが見事だろうと思っていたのだが、一般には昨年のNHK大河ドラマの舞台、井伊家の菩提寺として知られている。
遠州はまだまだ直虎さんブームだが、龍潭寺がある井伊谷は千年以上前にさかのぼる井伊家発祥の地、寺内には歴代藩主のお墓もあり位牌も祭られている。戦国の寺は砦にもなるからか、山門を入ったとたんに石垣がとうせんぼをしている。濃い緑の中を道がめぐっている。
また、初代が生まれたという井戸が近くに残っている。田圃の中でまだ水も沸いているようで、何故かお賽銭?のコインが散らばっていた。
また南北朝時代には後醍醐天皇の皇子・宗長親王が身を寄せたことがあるそうで、明治になってから龍潭寺脇に墓が作られたそうだ。
1時間ほどウロウロして、本日の宿がある舘山寺へ。距離的には大したことはないのだが知らない道のせいか30分が長く感じた。やがて浜名湖が見え、パルパルの観覧車の姿も見えてきて、予定より少し早く宿に到着。ロビーでウエルカムの冷茶とお菓子などを頂き部屋へ。
時間は十分早いので、割引券を頂いてこのホテルの目の前の博物館へ。ちょうど江戸物の茶道具や屏風、鎧などが展示されていた。しかし、この建物入り口前にはネギ焼ののぼりがはためき、建付けも飲食店風、入るのにはいささか勇気がいった。
すぐ隣から浜名湖の上を通るロープウェイも出ていてオルゴールミュージアムがあるというのでこれも割引券を頂いて行ってみる。湖上に温泉の名の由来の舘山寺も見えた。天気が今一つだったが、薄日も差して湖面がきらめいた。到着早々にオルゴールミュージアムのコンサートが始まるというので会場へ。オルゴールの仕組みやアンティークのオルゴールの実際の音色を聞かせてくれる。大型のものは当時のジュークボックスでコインを入れると1曲流れるようになっていたようだ。端の席にいたTANUKIは説明ををしてくれているお姉さんにコインを渡されてコインを入れる役をした。最後はオルゴールではなく自動演奏の機械の演奏。アメリカのデキシーバンドの編成を組み込んであった。ミニコンサートが終わる頃には閉館時間。上の階は小型の機会やレコードとの過渡期のようなものが集められていた。せっかくなので景色を見に屋上へ。スッキリ晴れていないのが残念だが、湖面が夕日にきらめいて綺麗な時間帯だった。屋上のカリヨンの5時の音楽を聞いて帰る事に。
来る時のロープウェイは直虎号だったが、帰りは家康号。
あまり天気が良くないので薄暗くなったといっても5時半前には宿に戻った。お夕飯までにはまだ時間があるので大浴場へ。男性客は結構あってにぎやかだったようだが女性用は数人で静か。内風呂、寝湯、ジャグジー、露天風呂と少しずつ楽しんだ。
大浴場を出たロビーに黒豆茶・小豆茶・トウモロコシのひげのお茶が準備されていたので少しずつ飲んでみたが、トウモロコシのひげのお茶はまさにトウモロコシ味、しかし、黒豆茶が1番美味しいような気がした。
部屋に戻って一休みをした頃にはお夕飯の時間。和風旅館だが、部屋ではなく食堂での食事。大部屋ではなく、グループごとに仕切られているようで、落ち着いて食事ができる。しばらくぶりに1本つけての和食。お昼に食べ過ぎたせいか、最後の鰻の釜めしが食べきれずちょっと残念だった。
後は部屋に戻ってゴロゴロするだけ。せっかくなのでかなり遅くなってからもう1度お風呂。結局、寝たのは普段と同じ12時前だった。
翌朝6時頃、暗い中でTANUKIがゴソゴソ始める。かえってうるさいのでとりあえずテレビを点ける。同じ県内なので番組もチャンネルも家と一緒。近場でわざわざ泊まることはなかったのでかえって新鮮。しかし、起きだしたのはいつもと同じ7時頃。
朝ごはんも昨夜と同じスペースで、これぞ日本の朝ご飯のおかずというものが盛りだくさんに並ぶ。しばらくぶりで食べたアジの開きが美味しかった。和食なのでコーヒーはないが、食後にロビーの喫茶部で淹れてもらった。
こちらがのんびりとコーヒーを飲んでいる間にほぼ貸し切りだったロビーには出発のお客さん達が集まってきた。団体さん待ちのバスも玄関前でスタンバイ。
朝食に出た鰻と昆布の佃煮が美味しかったので売店でお土産に買った。
本日も心配していたほどの雨ではない。帰りは森町に進路を取って遠州一之宮・小国神社へ。新緑もきれいだが花菖蒲園が見頃になっている頃だ。途中で雨が強くなったり、完全な生活道路だろうという道に入ったりしたが、迷わず到着。車を降りてちょっと歩くと良い香りがしてきたのはセッコクの花。ご神木の切り株にかけられた檜皮葺の屋根に根を張って花を咲かせている。お参りの後で花菖蒲園へ…。その手前でTANUKIが売店の甘々娘に引き留められた。甘々娘はこの地方で今収穫されるトウモロコシ。お土産も含めてまず1山ゲット。車にしまい込んで、気を取り直して花菖蒲園。
実はTANUKI、荷運びをしたら腰に来たらしく、花菖蒲園の中の東屋に腰を下ろしたまま動かない。DORA1人、傘をさしながら花の間をチョコマカと写真を撮りまくる。お気に入りはシャキッとした江戸花菖蒲だが、ふわりとした伊勢花菖蒲も可愛いし、ポッテリと大きな花の肥後花菖蒲も迫力がある。雨の中、葉も黄緑色の黄花菖蒲の周りだけが明るく輝いていた。
昨日の龍潭寺ではかなりあじさいも色づいていたので、紫陽花寺にも寄ってみたが、まだ店開き前、お寺なのでお参りはできるので、お庭を通ってお参りだけしてきたが、柏葉紫陽花が見事な花をつけていただけで、まだ早かった。
このあたりでお昼前、しかし、昨夜といい今朝といい、ずいぶん食べたのでお腹は減っていない。そのまま帰り道、R1に入って掛川の道の駅で一休み。買い物をして、飲むヨーグルトと海老芋コロッケ、TANUKIはコーヒー、私はお茶で一休み。その後は藤守とマーミの所にお土産を届けてずいぶん早い時間に帰ってきた。